シンプルな筋力トレーニングとして誰もが一度は経験していると思われるスクワットは、しゃがむ・立つという動作のなかで使われる筋肉は、意外なほどたくさんあります。
標準的なスクワットの主働筋は大腿四頭筋ですが、股関節も同時に伸ばすので、股関節の伸筋である大殿筋とハムストリングスも使っています。
ただ、しゃがんだ時の膝のポジションによって、動員される筋肉も違ってきます。
例えば膝を全く動かさずに、お尻だけを後ろに突き出すようなスクワットの場合、膝の伸展をほとんど使わず、主に股関節の伸展だけで動作をします。
逆に膝をうんと前の方に曲げるスクワットの場合、膝の位置と体の重心の距離が遠くなります。
実際にやってみるとわかりますが、このスクワットは膝の伸展をめいっぱい使います。
バーベルを担ぐとかなりの負荷がかかってしまい、膝を痛める原因にもなります。
膝のポジションと同じく、スクワットの種類によっても使う筋肉はさまざまです。
負荷を担ぐスクワットでは、体幹が不安定だと膝を伸ばそうとしてもつぶれてしまいます。
そこで活躍するのが脊柱起立筋です。
また、負荷が高いと腹腔を締めて圧力を高める必要もあるので、腹筋群を使います。
さらに、足の筋肉を伸ばすためにふくらはぎの筋肉も使うし、首を固定するために、僧帽筋も使います。
以上のように、スクワットは極めて全身運動に近い動作と言えます。
「キング・オブ・エクササイズ」と呼ばれる所以です。
単純に見えて実はたくさんの筋肉を使うつらい種目ですが、だからこそ一番大事な種目とも言えるのです。